日本人と柿の関わりは、古来から深いものがあったと言われています。
なお柿の原産地については、中国や日本などいろいろと説があるようです。
柿といえば、柿渋という言葉がありますが、どういったものでしょう
実は、柿はもともと渋柿で、熟していく段階で渋の成分が変化するのだとか。
渋柿も簡単に甘柿にできるという、そんな技についても紹介しています。
柿の歴史
古来から深い関わり
柿は、日本の気候に合っているので、交雑が進んで、多くの品種が生まれてきました。そして、柿と日本人とは深い関係がうまれてきたのです。
柿の化石も見つかっているそうです。人類よりも前に日本には柿があったわけです。縄文時代や弥生時代の遺跡からも柿の種は発見されています。
平安時代の「和名類聚抄」に「賀岐」として記述されています。祭礼用の菓子として使われていたようです。この時代の柿は渋柿で、熟柿や干柿として利用されていたようです。
柿は多くのビタミンやミネラルを含んでいて、栄養価が高いので、柿が赤くなると医者が青くなるとまでいわれていたようです。それくらい、柿は貴重な食べ物だったのです。
甘柿の誕生
鎌倉時代、1214年に神奈川県川崎市で突然変異の甘柿が発見されたといわれています。これが、現在の「禅師丸」で世界最古の甘柿です。
日本固有の柿で、世界最古の完全甘柿だと言われています。また、この時代の遺跡に柿の並木があり、もうすでに栽培が行われていたようです。
学名にもカキ
「学名」は世界共通の生物分類に使われますが、柿の学名は「Diospyros kaki=ディオスピロス・カキ」です。この意味は「神様の食べ物」で、日本語がそのまま学名になっているんですね。
江戸時代にはさらに品種が増えて、「御所、蜂谷、西條、祇園坊」といった現在も栽培されている品種があったといわれています。
江戸時代末には200品種ほどが栽培されていたようですが、明治末から昭和初期にかけて、農商務省が調査して、全国の柿は約1000種ほどに整理されたといわれています。
柿の種類
富有柿の誕生
日本には約1000種類の柿がありますが、その中でも有名なのは富有、次郎といったものです。
他にも平核無、刀根、西村、松本、甲州百目などが有名です。また、新しい品種で、大秋、早秋などがあります。
もっとも有名な富有柿は、岐阜県瑞穂市が発祥だといわれています。1857年に栽培された木が起源だそうで、1898年に命名されました。現在も原木は残されて、記念碑が建っているそうです。
柿の種類
富有
日本で最も栽培の多い甘柿です。熟期は11月中旬で松本早生富有などの早生系品種もあります。
早生次郎
富有に次いで栽培の多い甘柿です。肉質がち密で、強い甘みがあります。熟期は11月上旬で前川次郎などの早生系品種もあります。
太秋
新しい品種で、これまでの柿にないサクッとした歯ざわりが人気です。熟期は11月上旬です。
新秋
甘みが強く、早くから楽しめる、早生の完全甘柿です。熟期は10月上旬です。
甘百目
関東地方に多い大果の不完全甘柿です。実がよくなり、味もよく、家庭果樹として人気です。熟期は10月中旬です。
禅寺丸
雄花がよくつくので、受粉用として育てられます。不完全甘柿で、熟期は9月下旬です。
筆柿
形が筆形の柿で、禅寺丸同様、受粉用として用いられます。不完全甘柿で、熟期は9月下旬です。
平核無=ひらたねなし
種のない渋柿です。最も栽培が多い渋柿です。熟期は10月下旬で、枝変わり品種である刀根早生もよく知られています。
蜂屋
これも、代表的な渋柿です。熟し柿、干し柿、さわし柿、いずれにも適しています。熟期は10月下旬です。
柿の見分け方
渋みの違いが柿の違い
柿には、たくさんの品種がありますが、柿の種類は大きく分類すれば、甘柿と渋柿、そしてその中間の不完全甘柿という種類に分類されるそうです。
甘柿
柿は液体に溶ける性質のタンニンを果肉に含んでいます。実が未熟な時期にはどの柿も渋みがあるのです。
しかし、甘柿のタンニンは成熟していく中で水に解けない状態になります。そのために、成熟した実に渋みがなくなり、甘い実になるのです。
ちなみに甘柿の実を見ると黒い斑点が見られますが、これは水に溶けないタンニンが固まったあとだそうです。
渋柿
渋柿には成熟しても液体に溶ける性質のタンニンが残っているので、熟しても未熟なころと同じように渋みがあるのです。
渋柿はそのままの状態では食べられないので、炭酸ガスなどを使って渋抜きをします。渋抜き加工された柿を「合わせ柿」や「さわし柿」と呼びます。
不完全甘柿
不完全渋柿とも言います。一つの木で甘柿と渋柿が混じって実る品種もあります。今は甘渋判定機で渋柿か甘柿か見分けて出荷します。
渋柿を甘くする方法
3つの渋抜き方法
1.アルコールで渋抜きをする
焼酎やブランデーなどの、度数の高い蒸留酒を柿のヘタの部分に2~3滴つけます。それをビニール袋に入れ密封して、暗いところに1週間ほど置けば渋みが抜けます。
渋抜きとして一般的に使われる方法で、農家の方もこの方法で渋抜きをしていると言う話です。
2.湯を使って渋抜きをする
お風呂から上がったあと、湯船に渋柿を入れて、そのまま朝まで放置します。温度が高過ぎると渋が抜けにくいようです。
3.他の果実を利用して渋抜きをする
渋柿とりんごやバナナと一緒にビニール袋に入れます。りんごやバナナから出るエチレンガスが柿のタンニンを不溶性にするので、渋が抜けるのです。