うつ病を軽く見てはいけない
一筋縄ではいかないのが脳
脳にはたくさんの神経細胞があります。それが、さまざまな情報を伝達しているのですが、そのはたらきの中に、感情というものが生じます。
人間がいろいろなストレスを受けると、脳の一部の神経細胞の形が変化してしまい、それによって感情や考え方にゆがみが起こり、うつ病を発症すると考えられています。
じつは、うつ病の症状は、こころとからだの両方にあらわれるそうです。からだの症状は、こころの症状に比べると現れ方ははっきりします。
しかし、それが、うつ病が原因になってからだの症状が起きているとはなかなか判断できないのが現状だそうです。
うつ病の原因を探る
複雑でなかなか見えない
じつは、うつ病が発症する原因は、まだよくわかっていないそうです。
脳ではたらいている神経の伝達物質がうまく働かなくなることも大きな要因ですが、そこにストレスやからだの病気、環境の変化といった、さまざまな要因が重なるのです。
ようするに、大切なことは、うつ病はただ1つの原因で発病するものではないということなのです。
現在わかっている原因としては、「心理的なストレス」、「脳内の変化」、「なりやすい体質」の3つがあり、それらが重なって、うつ病を引き起こしていると考えられているそうです。
うつ病の症状
同時に起こるさまざまな症状
うつ病によって起こるからだの症状は、1つではなく、いろいろな症状があらわれるといわれています。
・眠れない
・頭痛がする
・食欲が出ない
このような症状があるにもかかわらず、いろいろな検査をしたのに、原因がわからないといったとき、ひょっとしたら、うつ病の症状かも知れないのです。
また、からだの不調に加えて、次のような体の症状があれば、さらにうつ病の可能性は高くなります。
・毎日が楽しくない
・何をしてもつまらない
・とにかく憂うつ
このうち、こころの症状でよく起こるのは「抑うつ気分」と「意欲の低下」です。
うつ病は治りにくい
躁鬱病=双極性うつ病
特殊なタイプのうつ病として、双極性うつ病があります。以前は躁うつ病と呼ばれていた病気です。
この病気では、元気がよすぎて、何でもできそうに感じているときがあり、これを「躁」の状態といいます。
逆に、気持ちが落ち込んでしまう、「うつ」の状態があり、この「躁」と「うつ」の2つの極端な気分の波があらわれるのがこの病気の特徴だそうです。
ただ、抑うつ状態のときの症状は、うつ病のそれとはほとんど違わないので、うつ病と間違われやすいそうです。
うつ病の治療と対策
現在行われるうつ病の治療は、抗うつ剤による薬物療法が中心です。抗うつ剤には様々な種類があり、どのタイプが合うのかは患者によって異なってくるそうです。
医者が患者に合っていると思われる薬を選択し、その結果、現れた効果や副作用の状態を見て、薬の量や種類を調整していくわけです。
漢方薬によるうつ病治療もありますが、じつは、漢方薬のみでうつ病が改善できるのはごく軽度の人に限られているそうです。
はっきりとした症状があるときは、抗うつ剤の使用の方が向いているといわれています。しかし、漢方薬の併用によって抗うつ剤の効果が高まったり、副作用を軽減できたりするそうです。
近年は薬だけでなく、精神療法の併用も重要視されています。とくに最近担って、有名になった治療法に「認知行動療法」という精神療法が行われ、高く評価されているそうです。