ひな祭りの時に、全国には雛人形を川や海に流すという風習があります。
流し雛は、罪やけがれを移して形代(かたしろ)を流すという、厄を払う行事で、ひな祭りの原型とされているそうです。
上巳の節句そのものが、厄を払うということを願っていたということもあり、ひな祭りも汚れを人形に肩代わりさせるというものだったようです。
この記事では流し雛の風習の持つ深い意味と代表的な流し雛の行事を紹介しています。
ひな祭りと流し雛の深い関係
どちらも、子どもの成長を願うもの
流しびなの風習は平安時代に始まったとされています。
子どもの健やかな成長を願って、小さな人形を子どもの身代わりに川や海に流します。
京都下鴨神社のひな祭り
雛人形をみたらし川に流す行事
京都の下鴨神社では、結婚を控えた男女が、十二単に衣冠装束姿に身を包んで、桟俵に乗せた和紙人形を境内の御手洗川に流すというひな祭りがあります。
この祭では、十二単・束帯衣着付けの披露や、お内裏さまと記念撮影などの行事が行われていて、とても多くの人が訪れるんですね。
この祭でも、雛人形を流すのは、子供たちの無病息災を祈る神事です。このように、ひな祭りは、もともとけがれを雛に託して祓う神事だったんです。
流しびなは平安時代に始まったといわれます。子どもの健やかな成長を願って小さな人形を子どもの身代わりに川や海に流し厄を払う行事で、ひな祭りの原型とされているんです。
今では、女の子が生まれたら無事大きく育つことを願い、小さな人形を飾るお祭りとなっていますが、今でも各地に流し雛の風習は残っているんですね。
県無形民俗文化財の「もちがせの雛送り」
ひな流しと言えば、鳥取県
ここのひな流しは当日訪れた観光客も流しびなを購入して流すことができます。みんなで盛り上げて、城下町・宿場町としての町おこしの一環になっているんですね。
もちがせの流しびなは旧暦の三月三日のひなまつりに行われます。したがって、今の暦では4月になります。
男女一対の紙でできた雛人形を桟俵にのせます。桃の小枝と椿の花や菜の花を添えて、災厄を託して千代川に流すのです。
そして、無病息災で1年間幸せに生活できますようにと願う、情緒豊かな民俗行事なんです。
ひな飾りの公開
もちがせ流しびなの日には、その家に古くから伝わる雛人形や、雛人形にまつわるものなどを飾りつけた、ひな飾り公開を行っているんです。
じつは、この行事は、町民の個人宅を開放して行っています。そういうわけで、この地域の民俗を知る上で非常に重要な体験ができるんですね。
また流しびなの製作実演や手作り体験が楽しめます。千代川の河川敷ではひな流し体験が行われています。
町内施設の「流しびなの館」では、伝統的な流しびなをはじめ、江戸時代からの貴重な雛人形が800体余りも展示されています。