普段は何も意識せずに食べているソーセージやウインナーですが、どんな材料なのか、また、どんな製法なのか、説明できる人、ほとんどいないのではないでしょうか。
ウインナーソーセージやフランクフルトなんて言われると、地名の違いとしか言いようがないものです。
実は、ソーセージもハムもさらにベーコンも、すべて塩漬けした肉を使用している点は同じなんですね。
ということは、どれも保存食として作られ始めたということなんです。ただ、その後の保存の仕方が異なっているというわけです。
この記事では、ハムとソーセージ、ベーコンの違い、ヨーロッパにおける肉の保存食の歴史を紹介しています。
あの美味しい味付けも、実は保存食としてのものだったんですね。
昔は肉を保存する必要があったから
極めて貴重だった肉
農耕も牧畜も未発達の原始狩猟時代のことです。その頃は、食べ物はとても貴重で、飢えと背中合わせでした。
そこで、手に入れた肉を何とか保存するために、岩塩で塩漬けにしたり、煙で燻したりすると保存できることを見つけたのだそうです。
それと、家畜としての豚の存在が大きいと言われています。もともとハムは英語で豚の骨付きもも肉という意味だそうです。
遺跡から見つかった豚の骨からして、紀元前5000年頃には豚が家畜として飼育されていたといわれています。
今から5000年前にはメソポタミヤで豚の腸に肉を詰めてソーセージらしき物が作られていたという説があるそうです。
やがて、ハムやソーセージの製法がヨーロッパ各国に伝えられました。中世には東方貿易で得られたスパイスも加えて、急速に発展したわけです。
ハムの種類とは
塩漬け、燻製、ボイル
もともと、ハムは塩漬けした豚のもも肉をブロックのまま燻製し、さらにボイルしたものです。
豚のロース肉である、肩の肉を使用して作ったロースハムは日本独自の呼び方だそうです。
いわゆるもも肉のハムはボンレスハムになります。日本ではたいがい薄切りにされて売っているので、ちょっと本場とは違うそうです。
ちなみに海外のスーパーで「ham」とあったら豚のもも肉、そのものを言っているそうです。
ソーセージの種類
ソーセージは味付け肉
ハムとは、豚のモモ肉を塊のまま加工したものです。それに対して、ソーセージは、肉を小さく挽き、調味料や香辛料を加えます。それを腸などに詰めて作るものです。
詰めている腸の太さによって、名前が付いています。それぞれ地名が付いているのは歴史があるからなのでしょう。
1.ウインナーソーセージ
羊腸か、太さが20mm未満の人工ケーシングに詰めています。羊腸なら、20mm以上の太さでもウインナーソーセージというそうです。
2.フランクフルトソーセージ
豚腸か、太さが20mm以上36mm未満の人工ケーシングに詰めています。豚腸であれば、20mm以下でも36mm以上でもフランクフルトソーセージというそうです。
3.ボロニアソーセージ
牛腸か、太さが36mm以上の人工ケーシングに詰めています。牛腸であれば、36mm未満でもボロニアソーセージというそうです。
4.その他
他にも、リオナソーセージ、セミドライソーセージ、ドライソーセージといったものがあります。
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ハムの種類
使われる肉の部位の違い
ハムには、ふつうロースハムとボンレスハムがありますね。あの違いは豚の肉の違いです。
もともと、ハムと言えば、豚のもも肉のことです。それは、太ももの筋肉をハムストリングといいますね。
ところが、ロースハムは、豚のロース肉という背中の肉を使っています。これは、本来のハムとは違うことになりそうです。
では、ボンレスハムは何かと言えば、これは元々のもも肉のハムのことを言います。ヨーロッパではボンレスハムとは言わないそうです。
ロースハムはボンレスハムより脂肪分が多いそうです。そのためエネルギー量が多くなっています。
ボンレスハムはロースハムより赤身が多いので、エネルギー量が少なく、また、ビタミンB2を多く含んでいるそうです。
生ハムと一般のハムとの違い
生ハムが普通のヨーロッパ
ヨーロッパでは、一般にハムといえば、生ハムなどの非加熱のものになるそうです。加熱したハムは少ないそうです。
この生ハムは、非加熱食肉製品と呼ばれるもので、法律で定められた方法で作ります。塩せきしたお肉を低温でくん煙・乾燥熟成させてつくるそうです。
生で食するため、さまざまな厳しい条件の規定があり、この条件を満たして製造したものだけが出荷されているわけです。
それに対して、ロースハムやボンレスハムなどは、加熱食肉製品と呼ばれます。これは、法律に定められた方法で加熱してつくっているそうです。
一般的には63℃で30分相当の加熱を行っています。しかし、特定加熱食肉製品といわれるやや低温で加熱する商品もあるそうです。
ベーコンとは
脂肪分が多いベーコン
ベーコンは豚のバラ肉を塩漬けにして、熟成させます。その後低温で燻製したものです。バラ肉を使っているので、脂肪分が多くなっていて、味も濃厚なんですね。
ベーコンには肩肉を使ったショルダーベーコン、ロース肉を使ったカナディアンベーコンなどもあって、どれもとってもおいしいものです。
日本ではベーコンは薄切りで売っていますが、アメリカでは厚めに切って焼いたりするそうです。これは濃厚な旨味がたまらない一品だとか。
健康のことを顧みずに食べてしまいそうでちょっと、考え物かなと思います。
イタリアでベーコンといえばパンチェッタです。塩漬けした豚ばら肉を乾燥・熟成したものなんですね。カルボナーラも、このパンチェッタで作るそうです。