ギターの原型の起源は紀元前
弓から始まった弦楽器
誰でも気軽に始められて、堅苦しさがないというわけでポピュラーになった楽器、ギター。
そんなギターですが、歴史は非常に長く、弓から始まって、原型が生まれたのは紀元前3700年以前だといわれています。
はるか昔から、悠久の歴史を越えて、ギターは生まれて成長し、今現在の形になっていったわけです。
また、弦楽器のルーツが弓である、というのが一般的な見解ですが、弓に張った糸=弦だけではとても小さな音しか出せませんでした。
そこで、その音を大きく共鳴させため為に、いろいろな工夫がなされたと想像できます。
そして、古代の壁画や彫刻といった歴史的な資料を調べると、紀元前3700年あたりに、ギターに類似した弦楽器ができたのではないかと想定されたわけです。
音を大きくするための工夫
共鳴のさせ方でできた2種類の弦楽器
弦楽器は発展の過程で、共鳴のさせ方に違いが生まれ、大きく分けて二種類のタイプが生まれたそうです。
1つは、弦に大きな木の実のような箱をつけて共鳴させるタイプです。この方法からピンナムタオ、セレベスの棒琴、グリンバオ、シタール、リュートといった楽器が生まれました。
もう1つは、弦どうしを共鳴させるタイプで、キタラ、ロッタ、クロッタ、ハープ、リラといった楽器になっていきます。
ギターは、この二つの要素を併せ持っているそうです。その結果、紀元前3000年頃には、ギターの原型になる串状ネックリュートが完成したようです。
その後、ギリシャ時代には共鳴胴が板で組み立てられました。さらに接着されたブリッジが付けられ、弦楽器は大きく発展していきます。
しかし、その後1000年程の間、新しい進歩はなかったのですが、ヨーロッパにギターの原型であるリュートが持ち込まれた711年に大きく動き始めます。
ムーア人がイベリア半島を占領した際に、リュートがヨーロッパへ伝わります。15世紀になると、パバーンやガリアルドといった舞曲で使われました。
しかし、スペインへ伝わったリュートもそれほど広まらず、ビウエラと呼ばれる楽器に変わっていったそうです。
ビウエラというのは、中世の弦楽器全般を示す言葉でした。そのうちのひとつがヨーロッパで発展して、スペインの舞踊用に改良されて、今のギターへと変わっていったと言われています。
クラシックギターの誕生
複弦から6弦へ
16世紀から18世紀あたりまでギターは、複弦が主流でした。弦の数が4対から5対へと変化していって、4対のものがルネッサンスギター、5対がバロックギターと呼ばれました。
1700年代後半になって、巻き弦と呼ばれる技術が発明されました。そこでギターは大きく発展します。
さらに、高密度で重い弦が作れるようになり、複弦が必要なくなります。そして、低音を担当する6弦目が増えて、6コース単音弦というギターの形が完成します。
18世紀末あたりから19世紀にかけては、ギターの進歩にとっては革命的な時期です。大きく3つの変革に出会いました。
1.フィンガーボード
ネックとフィンガーボードが取り付けられて、さらに金属製のフレットが打ち付けられて音色と耐久性が向上します。
2.ギア式弦巻き
現代と同じような、ギア式の弦巻きが取り付けられました。
3.ファンブレーシング
ボディ内部におけるファンブレーシングが導入され、さらに音量のある楽器になりました。
19世紀の後半に、アントニオ・デ・トーレス・フラドが、コンサートホールでも演奏できる音量と音色のギターを開発しました。これがクラシックギターの完成です。
アントニオは、ギターの音量を増加させるために様々なアイデアを試し、ギターの発展に寄与したわけです。
そして、フランシスコ・タルレガがトーレスのギターを使用することでギターが再評価され、その後、様々な奏者が演奏して、世界中にクラシックギターが広まっていったのです。