ルビーは赤、サファイアは青、エメラルドは緑。わかりやすい色の違いから、同じようなものだと考えている人もいるかもしれませんね。
実は、この中で同じ仲間になるのは、ルビーとサファイアだけです。同じコランダムという物質からできるそうです。
地中で発見される宝石は、とても珍しいもので、その貴重さゆえに、高額な宝石としての価値が生まれるんですね。
この記事では、ルビーとサファイア、エメラルドの違いを原料から見てみることと、それぞれの宝石の価値についての情報を紹介しています。
これを読めば、なぜ、あんなに高価になっているのか、その意味がわかると思います。
情熱の赤い宝石、ルビーについて
ルビーについての基礎知識
ルビーは7月の誕生石です。石言葉は「熱情、情熱、純愛、仁愛、勇気、仁徳」などがあります。どれも情熱の赤を象徴する言葉といえます。
ルビーの語源は、ラテン語で赤を意味する「ルベウス(rubeus)」に由来します。
石の硬さを示すモース硬度は9.0でダイヤモンドに次ぐ硬さを誇ります。
主な産地はミャンマーやスリランカ、タイなどの東南アジアとタンザニアやモザンビークなどのアフリカです。
ミャンマーで産出されるルビーは「ピジョン・ブラッド(鳩の血)」と呼ばれ、最高級とされています。しかし、その産出量は多くありません。
タイで産出されるルビーは鉄分を多く含んで黒ずんでいるのが特徴です。「ビーフ・ブラッド(牛の血)」と呼ばれていて、ミャンマー産に比べると価格は半額ほどと言われています。
スリランカやベトナムで産出されるのはピンクがかったルビーで「チェリーピンク」と呼ばれていますが、これも価値は高くありません。
世界的に見ても3カラットを超える大きな原石の産出量は少なく、その貴重性から全宝石中で最も貴重と言われています。
静寂の青い宝石、サファイアについて
サファイアについての基礎知識
サファイアは9月の誕生石です。石言葉は「慈愛、誠実、貞操、高潔、徳望、心の成長」などがあります。
サファイアの語源は、ラテン語で青を意味する「サッピルス(sapphirus)」に由来します。
石の硬さを示すモース硬度は、ルビーと同じ9.0です。
主な産地は、ルビーと同じく東南アジアとアフリカです。
カシミール地方で産出されるサファイアは「コーンフラワーブルー」と呼ばれています。またミャンマー産のサファイアは深い青色が特徴で「ロイヤルブルー」と呼ばれています。
どちらも世界最高峰のサファイアで市場価値も高いものとなっています。
ルビーとサファイアの種類は同じ
原石、コランダム
ルビーとサファイアは、同じコランダムと呼ばれる鉱物が原石となっています。
コランダムは酸化アルミニウムの結晶です。結晶に含まれる不純物によってルビーのような赤色を帯びたり、サファイアのような青色になったりします。
純粋な結晶は無色透明になります。
昔から宝石として珍重されてきましたが、今では人工で生成できるようになり、固体レーザーなどに使用されています。
世界的に有名なルビーとサファイア
有名なルビーとサファイアのジュエリー
世界的に有名なサファイアのジュエリーは、ウイリアム皇太子からダイアナ妃に送られた「Kate Middleton’s engagement ring」でしょう。
ダイヤモンドに囲まれた18カラットの巨大なサファイアのジュエリーです。
「Hall Sapphire and Diamond Necklace」は、現在はワシントンDCのスミソニアン博物館に展示されているジュエリーです。435個のダイヤモンドと36個のサファイアでデザインされています。
「Black Star of Queensland」は733カラットの世界最大のスターサファイアです。
宝石って、どういうものを言うのか
あの小さなものがどうして高いのか
宝石の定義というものがあるそうです。基本的には綺麗な天然鉱物ということです。この鉱物とは、まず、無機質で、一定の化学組成を持ち、結晶からできている物質のことだとか。
しかし、全てがそれにあてはまるわけではないんですね。たとえば、オパールは結晶ではありませんし、琥珀や珊瑚、真珠は生物由来なので、無機質の結晶とは言えません。
要は、希少価値と、純粋さ、のような総合的な価値を含んでいると言うことでしょうか。
ルビーとサファイアは兄弟種
化学組成は全く同じ
ピンク・サファイアと色の薄いルビーがあるとします。この違いは、色の濃さだけで、全く同じものと言ってよいそうです。
コランダムという酸化アルミニウムからできた宝石の中で、赤い色をルビーと呼び、その他の色をサファイアと呼ぶそうです。
そのコランダムに酸化クロムが入れば赤くなり、鉄とチタンが入れば青くなるというわけなんですね。
赤いコランダムがルビー
ルビーはコランダムに酸化クローム1.89%を含みます。それによって、あのすばらしい真紅の色が出るわけです。
世界の主な原産地はミャンマー、タイ、スリランカ、ベトナムなどで、最近はアフリカにも産出するそうです。
ルビー以外はサファイヤ
コランダムは酸化アルミニウムの結晶です。そのうち、赤いものだけがルビーで、それ以外の色はすべてサファイアと呼ぶそうです。
サファイヤと言えば、あの青色が有名ですが、それは鉄とチタンを含んでいるためなんですね。
含む物質の違いでグリーン・サファイアやイエロー・サファイアという具合に名前が変わるわけです。
サファイアのカラー・バリエーションはとても多彩で、ブルーを筆頭にイエロー、グリーン、ピンク、バイオレット、パープル、ホワイト(無色)とまさに七色です。
エメラルドは緑柱石
アクアマリンと兄弟石
エメラルドはペリルという緑柱石の一種です。クロムやバナジウムといった不純物を含むので、あの深い緑色の宝石になるそうです。
じつは、アクアマリンも同じ種類なんですね。不純物の含有量の違いによって色がちがってくるんです。
エメラルドグリーンと言う色の名前にまでになっているので、緑色が基本ですが、同じ鉱物でもクロームの含有量がかわると、エメラルド、アクアマリン、モルガナイトとなるそうです。
産地は圧倒的にコロンビヤです。コロンビヤ産のエメラルドは品質もたかく、価値があるそうです。
他には、ザンビア産、ブラジル産、マダガスカル産がありますが、黒味がかった薄いグリーンのものが多くて、安価になります。
減少しつつある、原石の宝石
高級品はさらに高価に
ルビーは産出量も少なくなってきているそうです。5カラット以上の大きい石となると、更に激減です。もはや、貴重品となりつつあって、市場でも滅多に見られないそうです。
ブルー・サファイアの産地は、おもに印度とビルマです。特にインドのカシミール産のブルー・サファイアは最高級品となっていますが、ほとんど産出しなくなりました。
現在のサファイア産出はほとんどスリランカです。他にはマダガスカル、オーストラリア、タンザニア、タイ、などにも色々のサファイアが産出されているそうです。