命を保ってくれる、リスクよりもメリットが多いペースメーカー
迷っているうちに忍び寄る「死」
電車やバスの車内アナウンスなどで優先席の利用についてペースメーカーなどの言葉を聞いた記憶がありますね。
心臓の補助を行うのがペースメーカーですが、単に補助といっても、心臓の弱い方にはペースメーカーひとつで命もかかわってきてしまうのです。
どんな仕事をするのか
心臓の動きを支えている
ペースメーカーは、心筋に電気による刺激を与えることで心臓の動きをサポートしている医療機器になります。
正常な心臓の動きは、右心房の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれるところで、心臓の拍動を作り出します。
その部分から発生した信号が、心臓の刺激伝導系と呼ばれる道を通り、心房、心室へと巡り、心臓全体に信号を行きわたらせます。これが、正常な心臓の収縮と呼ばれます。
しかし、病気などで信号を心臓内部に行きわたらせる伝導系が正常に機能しなくなったり、また洞結節そのものの動きが鈍くなったりすると、心臓の脈拍が落ちてしまいます。
特に、不整脈の中でも洞不全症候群、房室ブロック、心房細動などの徐脈を起こす疾患は、そのまま放置しておくと、心不全などの死に関わるような結末に発展してしまう可能性もあります。
こういった理由などで、正常な心臓の動きの機能を失ってしまった心臓の伝導系の代わりに、脈拍が一定数以下にならないように、心臓部に刺激を与え、正常な心臓の脈に近づけさせるサポートをするものがペースメーカーです。
このペースメーカーには体内植込み型と体外式と存在しています。その心臓の問題によって使い分けられています。
体内植込み式
植込み型ペースメーカーまたはパーマネントペースメーカーなどと呼ばれ、本体とリードという導線部分はその名の通り、手術にて完全に体内に埋め込まれます。
不整脈、心不全治療のための長期使用を前提としたものです。
体外式
一時ペースメーカー、テンポラリーペースメーカーなどと呼ばれ、その名の通り一時利用時に使用します。
先ほどの病気とは別の理由による徐脈・・・例えば心臓手術後などの徐脈予防や、植込み型ペースメーカーの手術までの徐脈への対処法などで使用されています。
では、このペースメーカー、体外式の電源は想像つきますが、体内に入れてしまうような植込み型の場合どのような電源で動いているのでしょうか?
実は植込み型はリチウム電池で動いており、寿命としては6年~8年と言われることが多いそうです。
しかし、実際は動作の設定内容や、サポートする心臓の状態などにより、「6年も持たなかった」や「8年以上も持った」など、その状況によって電池の消耗は変わってくるそうです。
運動した時の心拍数
ペースメーカーをつけたままで運動はできるのか
術後1~3か月、体調が順調に回復、問題がなければ運動制限というのはあまりなく、ほとんどのスポーツが可能になるそうです。
しかし、ペースメーカー本体や、導線部分にあたるリードなどに衝撃などが及ぶようなスポーツは避けるべきと言われています。
また、植込み部に近い筋肉を動かして、ペースメーカーに衝撃が伝わるものも良くないそうです。
また、ペースメーカーというより、その心臓の状態によってはできるスポーツが決まってくるといわれているので、医師に相談したうえでスポーツを楽しむほうがよいかと思います。
また、運動をすれば心臓に負荷が掛かりますがその点ではペースメーカーは大丈夫なのかという疑問がありますよね。
最近では、身体の動き、体温感知などから必要に応じては心拍数を変更できるようになっているそうです。ほとんどのペースメーカーに備えられている機能になるそうです。
だからと言って無理はやはり禁物です。先述したように、医師にしっかりと相談したうえでの行動が肝心かと思われます。
電磁波の影響
生活に支障はないのか?
ペースメーカーは電磁波に弱いというイメージがありますが、どこまでの電磁波なら大丈夫なのでしょうか?大まかに紹介していきたいと思います。
影響しないもの
電子レンジ、電気毛布など、電気こたつ、掃除機、洗濯機、冷蔵庫、電気カミソリなど、マッサージ機、ドライヤー、パソコン、補聴器、テレビやラジオなどです。
影響が出る可能性があるもの
電磁調理器、IH炊飯器、電気のこぎりなど、高出力トランシーバー、携帯電話やPHS、家庭用コードレスフォン、体脂肪計などです。
影響があるとされる場所
レーダーアンテナ、放送所アンテナ、中継基地、不良電気具、低周波治療器、高周波治療器、発電装置、大型モーターなどです。
また、スーパーや百貨店などにある電子商品監視機器という装置は、臨床上は、問題ないとされていますが、絶対とは言えないそうです。出来ればその装置自体に不要に近づかず、真ん中を速やかに通行すればよいとされているそうです。
ペースメーカーのおかげで多少の制限はされてしまうこともありますが、ほぼ普段通りの生活が送れるようになります。
しかし、無理は禁物、医師の指導の下、正しいペースメーカーとの付き合い方を学んでいく必要がありそうです。