UNIXの誕生
Multicsの失敗から生まれた
じつは、IBMよりも先に、アメリカのベル研究所で、MulticsというOSが作られていたということです。
これは、多機能のOSで、現在のコンピュータにもつながるような、画期的なものだったと言われています。
ただ、機能が多すぎたためか、発想が先進的すぎたためか、当時のコンピュータの能力では遅すぎて、役に立つレベルにはならなかったそうです。
Multicsは失敗に終わりましたが、その開発に関わっていたベル研究所のケン・トンプソンは、この失敗を教訓として、新しいOS、UNICSを開発したのです。
MulticsというOSからmult=複数を省いて、uni=単独で動くように工夫したというこの作品は見事に成功します。
Multicsの失敗から学んで、よりシンプルで小さなOSを作ったことが、それからのパソコンの歴史を変えていくことになったわけです。
UNIXが配布された経緯
AT&Tという会社はアメリカの電話会社ですが、もとは電話の発明者であるグラハム・ベルが創立した会社です。
UNIXを開発したベル研究所も、AT&T社に属していたわけです。このAT&T社は、その当時、独占禁止法によってコンピュータ産業への進出が禁止されていたそうです。
そのため、ベル研究所はUNIXを作っておきながら、UNIXを販売できず、ほぼ実費で色々なところに配られることになったわけです。
最も普及したのが、大学や研究所だったようです。また、ソースコードも公開されていたので、様々な派生版のUNIXが誕生したということでした。
UNIXの覇権争い
標準OSの地位を獲得できず
こんな経緯から、派生版のUNIXがたくさん作られて、まとまりがなくなってきたので、AT&T社は、AT&Tと契約を結んだものだけがUNIXを名乗れるようにします。
1985年から1995年までの10年間に、多くの会社がUNIXマシンを製造していきますが、覇権争いが激化し、足を引っ張り合う状態になっていったようです。
そんななかで、シェアを獲得したのは、Microsoft社のWindowsで、すべてのUNIX系OSを出し抜き、標準OSの座を手にいれてしまったわけです。
Linuxの誕生へ
ゼロから開発されたOS
LinuxもOSです。UNIXの標準仕様に準拠しているためUNIX系OSと呼ばれています。そして、色々なところで使われていますが、OSとしては、コマンド画面が原点です。
とても安定していて、さらに費用がかからないという特徴があります。このLinuxも色々なところで使われています。たとえばAndoridのスマートフォンはLinuxだそうです。
Linuxが誕生したのは、UNIXには先ほどの経緯でライセンス契約という縛りがあったので、さまざまな開発の過程で摩擦を生じるようになってきます。そこで登場したのがLinuxだということです。
フィンランドの天才大学生、リーナス・トーバルズが発明したLinuxは、Unixの基本は踏襲しつつも、独自に開発したものでした。
見た目や機能は確かにUnixに似ているのですが、実際の中身はリーナス・トーバルズのオリジナル作品だそうです。
同じ方法ではないので、著作権には引っかからないので、また、リーナス・トーバルズはこのコードを無料で公開して、自由に使えるようにしたわけです。
すると、世界中のエンジニアがLinuxを最高のものにするために、力を合わせて改良を重ね、高性能OSとしてLinuxの地位が確立されていったということです。