よく混同されがちですが、放射能と放射線とは違う意味です。
まず、放射能は、不安定な原子核が放射線を出しながら別の原子核に変わっていく性質のことを言います。
この変化のことを壊変なんていいます。
では放射線とはどういったものでしょう。
まず、放射線は、放射性物質という特別な物質から粒子や電磁波が出てきます。そのことです。
放射能は放射線を出す能力
放射性物質はただものではない
放射線の種類
放射線には、粒子線であるアルファ線、ベータ線、中性子線、電磁波であるガンマ線やX線があります。
①アルファ線
原子核からヘリウムの原子核が飛び出したものです。陽子2個と中性子2個がヘリウムの原子核ですが、この粒子は、アルファ粒子とも呼ばれます。
アルファ線は紙1枚でさえぎることができるそうです。
②ベータ線
原子から放出される電子のことです。ベータ粒子とも呼ばれます。
このベータ線はアルミニウムなどの金属板でさえぎることができるそうです。
③ガンマ線やX線
ガンマ線の発生する仕組みは、不安定な状態の原子核が、より安定な状態に移行する際に電磁波が発生するものです。
エックス線はガンマ線とは発生源が違います。ガンマ線は原子核から、X線は原子から発生するものです。
エックス線もガンマ線も鉛でさえぎることができるそうです。
④中性子線
中性子は原子核を構成する粒子の一つです。
中性子線とはその中性子の流れをいい、水やコンクリートのように、水素をたくさん含む物質でさえぎることができるそうです。
放射線の単位
ベクレル(Bq)
ベクレルは放射能そのものの単位になります。
1秒間に1つの原子核が崩壊して、アルファ線が1つ出ることが、1ベクレルになります。
ベクレルは、放射線を発見したフランスの科学者、アンリ・ベクレルにちなんだ名前です。
シーベルト(Sv)
放射線を受けることを「被ばく」といいます。
そして、受けた放射線の量を線量あるいは被ばく線量と呼び、シーベルトは、この被ばく線量の単位になります。
要するに、放射能が、人体に影響する度合いを測る物差しになります。
放射線防護の研究で功績のあったスウェーデンのロルフ・マキシミリアン・シーベルトにちなんだ名前です。
放射能の半減期
放射能は時間とともに減少
放射性物質の放射能は、時間の経過とともに減少していき、一定の時間が経過すると半分になります。
この放射能が半分になる時間を半減期と呼びます。
放射能が人体に与える影響
一番怖いのはベータ線
放射能によってたたき出された電子が、細胞の中をでたらめに走り回ることで、細胞のなかの分子に傷がついてしまいます。そして、DNAにも傷がついてしまいます。
このDNAに生じた傷などによって細胞が死んでしまい、白血球が減少したり、消化管粘膜が損傷を受けル事になり、下痢をしたりするのです。
放射線の量が少ない場合は、急性症状は出ないにしても、若干の細胞に傷がついています。
そして、細胞が自ら傷を治すときに、ごくまれに間違いが起こって、遺伝子異常が生じてしまいます。
その結果、細胞の中で、将来がんになるものが出現してしまうのです。