二十四節気のことはまだ耳にしますが、七十二候となると、なんのことかわからないという人が多いようです。
その説明をする前に、まず二十四節気をもっと理解する必要があるのです。
まず、昔から人間は自然と共に生きてきました。太陽の存在は、人間も自然もあまりに大きく偉大なものです。
そして、古代中国では、太陽の動きを元に一年を24にわけて二十四節気とし、暦を作ったのです。
季節の変化は植物や生き物に影響を与えるため、気候の変化を的確に把握することは人が生きる上でとても重要なことだったのですね。
この記事では、二十四節気の一つ、処暑についてとそこに合わせて、七十二候について紹介しています。
処暑の七十二候とは?
四季と共存する先人の知恵
日本では中国で考え出された二十四節気を導入し、さらに三分割して七十二候とし暦に取り入れ季節を知る手がかりとしたのです。農業関係者では、現在でもこの暦を利用する人が多いようです。
春分、秋分、夏至、冬至はこの二十四節気の一つで、太陽を中心に相対する場所に位置しており、その間を等分して立春、立夏、立秋、立冬、さらに三等分して二十四節気としています。
処暑は二十四節気の一つで、暑さが峠を越し秋の気配を感じ出すころ。8月23日~9月6日ごろをいいますが、さらに三等分したものを処暑の七十二候といいます。
七十二候にはそれぞれの季節をあらわす言葉が使われており、季節を感じてきた先人たちの感性を感じます。古代中国で使われていた名称を今でもそのまま使っていますので、少し読みにくい漢字もあるのです。
綿柎開の意味
綿は貴重な防寒着
綿柎開は「わたのはなしべひらく」と読み処暑の前半をさします。およそ8月23日~8月27日ごろです。
柎は植物の「がく」のことを指します。つまり、綿の「がく」が開いて綿花を収穫できるころという意味になります。
昔綿花の布団や着物は、寒さを防ぐ貴重なものでした。綿の収穫を心待ちしていた人たちの思いが伝わるようです。
天地始粛の意味
秋の気配にほっとするころ
天地始粛は「てんちはじめてさむし」と読まれ、処暑の中ごろを指します。8月28日~9月1日ごろで、呼んで字のごとく、暑い中に初めて秋の気配を感じるころとなります。
確かにこのころの天気予防では秋雨前線が登場し、日中はまだまだ暑さが続くものの朝夕涼しさを感じ出すころでもありますね。
禾乃登の意味
穀物の実りと人々の喜びが伝わる
禾乃登は「こくものすなわちみのる」と読み、処暑の後半を指します。9月2日~9月6日ごろで、稲の穂先が実って垂れ下がり、色づくころを表しています。
全国各地で豊作祭が行われるのもこのころですね。ちなみに、「禾」は稲ではなく粟の穂が垂れ下がった様子を表したもので、昔の中国や日本では主食は粟だったようです。