最近、ビッグデータという言葉もよく聞きますし、テレビでも扱われることが増えました。そこに、AIが絡んできます。
しかし、ビジネスにしろ科学や公共サービスにおいても、いまだ勘や経験、度胸などといった人の感覚に頼っている面が多く見られるようです。
この人間がおこなう意思決定に、ビッグデータ分析に基づいた定量的な評価が加わることで、もっと成功率の高い、効果的な判断ができると期待されているのですね。
この記事では、ビッグデータの活用方法や例、メリットとデメリットについて紹介しています。
今後もますます活用範囲が増えていくであろう、ビッグデータ。それに振り回されないように、自分たちもしっかりとしないといけませんね。
ビッグデータがビジネスを変える
何となく、では必ず失敗する
マーケティングの分析手法として、今ビッグデータの分析が注目されています。ここで、よく例に出されるのが「おむつとビールの法則」です。
この法則は、データの分析から見えてきたものだそうです。スーパーマーケットの購買データの分析によって、おむつとビールが一緒に売れる傾向が見えたそうです。
そのデータから、父親が子どものおむつを買いにきたついでに、ビールを買うのではないかという仮説を導き出しました。
そこで、スーパーマーケットにおむつとビールを並べて陳列したのです。すると、売り上げがみごとに上昇したというわけです。
このような、ビッグデータの分析によって、人手をつかったデータ分析では見えてこない知見を得たという例なんですね。
ビッグデータのもたらすメリット
活用の基礎
ビッグデータは、データの規模の大きさも重要ですが、データの内容や、利用される方法と言った質的な側面も重要になります。
量的側面でみても、数十テラバイトから数ペタバイトまでと非常に巨大なデータになります。
質的側面からは、高解像、高頻度、多様性といった特徴があるものがビッグデータとされているそうです。
IT技術の発展によって、データの生成や収集、蓄積はより簡単におこなえるようになってきています。
ビッグデータの活用モデル
徹底的に分析する
1.通信
通信会社がスマートフォンから位置情報や接続状況などの個人情報を除いたデータを収集し、つながりにくい地域の特定を行った結果、接続状況が改善できました。
2.金融
銀行の店舗やコールセンターに寄せられる大量の顧客の声を分析、好意的または否定的な意味を持った文章を抽出して、商品やサービス面でのサービスを改善しました。
3.交通
カーナビの通信機能を使い、毎月1億キロに上る走行データを収集、分析することで、渋滞を回避するルート案内や交通事故多発地域の特定などにつなげました。
4.流通
船舶輸送において、エンジンの回転数や燃料消費量などの船舶データと外部データを組み合わせて分析、運行や配船の効率化で約10%の省エネ効果を達成しました。
5.運輸
ポイントカード利用者の利用状況の分析によって、バスの運行計画の最適化を達成することができました。
6.小売
かつては、ベテラン社員の経験に依存していた出店計画を、人口、就業者数、交通量、店舗のサイズといった多種のデータ分析で、最適な立地を決めることができました。
7.製造
建設機械の各車両にセンサーを取り付け、位置情報や稼働状況を監視するビッグデータ分析によって、コスト削減や稼働率の向上を実現しました。
8.食品
自動販売機にて飲料を販売する際の商品サンプルの配置を、自動販売機で商品を購入する際に顧客がどこを見て商品を認識しているのかを表すデータを分析で決めています。
9.医療
50万人に上る患者の診療実績や年間4000件の手術データを解析し、再手術の割合を3割減らし、薬剤の最適化で年間2億円の医療費削減を実現しました。
10.飲食
回転寿司の皿にICタグをつけ、鮮度管理を徹底、タッチパネルとの併用でリアルタイムでの需要予測することができました。

ビッグデータ活用のデメリット
そこから見つかる関係の分析が重要
ビッグデータの活用が進んでいくなかで、注意すべき点は、相関関係をみるだけでなく、因果関係を見つけることが重要だと言うことがわかってきました。
相関関係は、いくつかの事象がお互いに関係性を持つ、ということを指しています。ただ、これだけでは、その効果をもたらしたのをはっきりと特定できないのです。
ようするに、こうなったのは、明確にこうしたからこうなった、といいきれない場合が多いと言うことです。
それに対して、因果関係とは、原因と結果がはっきりするということを示します。一見、因果関係に見えても、相関関係に終わるデータもあります。
ビッグデータの活用のためには、何が因果関係にあるのかをはっきりさせることが重要になるわけです。
ビッグデータは、人間ではなかなか気付けない事柄に気づかせてくれます。マーケティングだけでなく、いろいろな社会問題への解決にも寄与しているのです。
今後もビッグデータの価値を正確につかみ、さらに高度に活用していくことが求められているわけです。