優れた善玉菌のことをプロバイオティクスといいます。
これによって、体内に存在する悪玉菌と善玉菌のバランスをコントロールする予防医療が注目されています。
この記事では、そんなプロバイオティクスで重要な役割のロイテリ菌のこと、バクテリアセラピーの意味を紹介しています。
プロバイオティクスとは?
今、医療で注目の予防医療
じつは、私たちの体には、約100兆個もの菌が存在しているそうです。そのなかには、いい影響を与える善玉菌もいれば、悪い影響を与える悪玉菌もいます。
しかし、それぞれがバランスを取りながら共存していることも事実なんですね。
ところが、その体内菌バランスが崩れると大変です。歯周病、発熱、炎症、アレルギーなどさまざまな不調が現れてくるわけです。
ロイテリ菌の発見
現代人から失われた乳酸菌
1980年、アンデスの高地に住むペルー人の女性の母乳から、「ロイテリ菌」という乳酸菌が発見されました。
環境汚染とは無縁の生活を送ってきた彼女には、人間本来の自然な状態を保っていたわけです。
その健康を支えるロイテリ菌は、とても有益な菌でした。その後の研究によって、その有益性は次々と明らかになっていったのです。
ロイテリ菌は、口の中から胃、腸に行き渡り、定着して体質を改善し、免疫力のバランスを整え、病気の予防や症状の軽減をもたらしてくれる、優良な善玉菌だったのです。
ロイテリ菌の優れた面は他にもあります。ロイテリ菌はもともと人体に存在する人由来の菌なので安全性が高いので、乳幼児や高齢者、病人や妊婦にも安心して使えるのです。
また、ロイテリ菌は酸に強いので、胃酸で死ぬことなく、腸までたどりついて、腸に定着できるというのが、他の多くの乳酸菌にはない特徴だったのです。
今、注目の「菌活」
大切なのは菌のバランス
かつては、菌を殺して、それによって、健康につながると思われていました。しかし、今では、菌による口腔内や腸内環境の改善が健康への近道だということがわかってきたのです。
それは、良い菌まで殺してしまう「殺菌」という概念ではなく、菌と上手に付き合う「菌活」という概念に変化し始めているそうです。
ロイテリ菌は、生きたまま、元気な状態で腸に到達することができます。そのため、腸内の善玉菌を増やして、菌のバランスを良好にできる可能性が高くなります。
ロイテリ菌が腸で増えると、悪玉菌の増殖を抑え込んでくれます。そして、腸全体の状態の改善につながると言われています。
バクテリアセラピーとは?
今注目される、バクテリアセラピー
最近になって、投薬治療を補完して、さらに健康を保つ方法として、バクテリアセラピーが注目を浴びています。
バクテリアセラピーは、健康維持効果・安全性につながる技術だといわれています。現在、世界63の国と地域の医療機関が導入しているそうです。
また、90以上の医療機関でバクテリアセラピーに活用されているのがロイテリ菌なんです。それは、子どもや高齢者に副作用がないことがわかっているからです。
免疫細胞の7割は小腸に存在しているそうです。その細胞がロイテリ菌の投与によって活性化することがわかってきたそうです。
また、アトピー性皮膚炎の乳児に7年間ロイテリ菌を用いたところ、症状が著しく改善したそうです。
さらに、スウェーデンなどの欧州各地では、ロイテリ菌が乳児用粉ミルクに配合されています。また、母親がロイテリ菌を摂取すると母乳中の免疫成分が増えることもわかってきたそうです。