腸を大切にすることで健康を維持できる、というのは一般的な認識ですね。
しかし、この腸というのは、じつは、腸に生育している腸内細菌叢のことかもしれません。
というのは、人間の大腸には、実際にはたくさんの細菌が常に生息していることは、よく知られた事実です。
この記事では腸内細菌の影響の中でもストレスと免疫に与える大きさを紹介しています。
まさかの腸のはたらきに驚くと同時に、腸内環境の改善が大切だとわかります。
腸内細菌が支える人の命
腸内細菌は体の一部
最近の研究では、大腸内には、3500種類を超える細菌が棲息している、といわれています。
そのような細菌がいることで、人は栄養状態を調整したり、身体を危険な敵から守ったりしてもらえるのです。
腸内細菌の量は大人では約1.5㎏にもなるそうです。そして、その存在は限りなく体の一部といえそうです。
種類と多様性が支える身体
腸内細菌が性格にまで影響
人はストレスを感じたときに「ストレスホルモン」を分泌しているそうです。そして、腸内細菌とも相互に作用していることがわかってきたのです。
社交的な性格の人は、内気な人に比べてストレスホルモンの分泌が少ないということもいわれています。これは、腸内細菌のおかげだということだそうです。
腸内細菌には、ストレスホルモンの量を調整する力があって、その量が多いということは、何らかの問題に直面してもストレスを感じにくくなるというわけです。
プロバイオティクス治療とは
腸内細菌を整えることで改善する?
ある実験では、無菌状態のマウスを閉じ込めると、ストレスホルモンが過剰に生成されることがわかっています。
そこへ、ビフィズス菌の一種をあらかじめ投与するだけで、ストレスを防げることができたそうです。
このように、腸内細菌は、実際の行動にまで影響を与えるが、マウスの実験では分かってきているのです。
実際、細菌を全く持たないように繁殖させたマウスは、通常の腸内細菌を持つマウスと比べて非社会的な行動が多くなって、孤立しがちになることがわかったそうです。
腸内細菌の改善によって、子どもの気性や態度の改善が図れることも期待されているようです。
ストレスホルモンは、肥満や喘息、アレルギーといった慢性疾患を引き起こすことがわかっています。
今後は、腸内細菌の解析が進めば、そういった病気を予防できる可能性が出てくるのです。
腸は人体の最大の免疫組織
カギを握るのは腸内細菌
腸は単に食物の消化吸収のためだけにあるのではありません。人体の中で、最も大きな免疫組織だということです。
そして、多くの神経もあり、内分泌系組織も集まっているわけで、そのために腸は第2の脳などと呼ばれることがあるのです。
緊張によって、お腹が痛くなったり、下痢をするというのもありますが、逆に、腸の調子が悪いと脳が不安を感じることになります。
腸と脳はネットワークで密接につながっていて、お互いの刺激が自律神経や内分泌、免疫系を通じて双方向に伝わっていることがわかっています。
このような脳と腸の密接なかかわりのことを脳腸相関とも呼んでいるのです。ストレスで腹痛や下痢、便秘を繰り返す過敏性腸症候群は、そのものです。
腸は、精神的なストレスがたまると、その影響をダイレクトに受けてしまい、働きが低下するだけでなく、腸内細菌の中でも悪玉菌が増えてしまい、免疫力が低下していくのです。
逆に、腸内環境の改善がストレス対策にもなると言われていて、腸内環境を整えることで、脳にかかるストレスを軽減できるのです。