「8050問題」という言葉をよく聞くようになりました。
この言葉はどういう意味なのでしょうか。
実は、本当の意味は「80歳代の親が、50歳代の引きこもり状態にある子供の面倒をみる」なんです。
何とも、重い話に感じますね。
この記事では、8959問題の現状と課題、超高齢者社会のもたらす悲劇的な状況を紹介しています。
この問題は、引きこもりとの関係がとても大きいので、決して高齢者だけの問題ではないのですね。
8050問題が難しいわけ
つながりを拒む引きこもり家族
以前、札幌のアパートの一室で起こったことです。82歳の母親と同居していた引きこもりの52歳の娘。ここで、飢えと寒さによって孤立死が見つかりました。
親子の遺体が見つかったのは、冬の1月初め。52歳の娘は長年引きこもり状態だったということです。
2人の死因は、低栄養状態による低体温症でした。見つかったときは1月でしたが、実際は、それぞれ飢えと寒さによる衰弱で、年末までに亡くなったそうです。
8050問題の現状
ひきこもり、驚異的な数字
ある研究者によると、日本国内のひきこもりは推計で100万人以上、実際には、300万人から500万人存在してもおかしくないと言うことです。
65歳以上の高齢者がいる世帯の構成割合を調べたデータがあります。1975年と2013年を比較すると、顕著な現状が見えてきます。
・3世代同居が54.4%から13.2%に減少しています。
・親夫婦と未婚の子の同居は6.7%から12.2%に増えています。
・親一人と未婚の子という世帯が2.9%から7.6%に増加しています。
このような、長期高齢化の裏には、親が引きこもる子どもの存在を隠してきたということがあると言われています。
引きこもりは恥ずかしい、という、社会通念があって、世間体を気にして、生活するわけです。
親が恥ずかしいと思っているのですから、その庇護の元にある、子どもが行動することはかなり困難になると考えられます。
そして、親が追い詰められていくと、子どもはますます動けなくなっていくわけです。その家族に隠されれば、地域には課題も見えません。
親が元気なうちに社会のセーフティネットにつながることがなければ、親が弱ってしまうと、子どもは生きていくことが困難になるというわけです。
8050問題の課題
福祉だけでは脱出できない
まず、人との出会いが鍵を握っていると言うことが重要だと思います。同じような状況の仲間や、自分の役割などを認めてくれるような相手との出会いです。
それがあれば、自分が生きていることは恥ずかしいことではないのだと思えるので、そこから自らの意思で動き出せるということは、さまざまな事例を聞きます。
つながりがあれば、生きようとする意志や情報を誰かが受け止めて、そこから抜け出ることも可能になるのです。
逆に、自分が安心できるつながりもなく、社会との隔たりだけを感じ、だれからも人生を肯定してもらえないときに、はたして、生きる意志が生まれるでしょうか。
まさに、生きてるだけでいい、という空気を広めないと、地域に数多く潜在化してしまっている、ひきこもりの当事者家族は、助けての声を出せないのです。
引きこもり問題の難しさ
長期化によってみえない糸口
引きこもりは長期化し、高年齢化するほど解決が難しくなるといわれています。将来のビジョンが見えないのであれば、第三者に相談することがより重要です。
現代の問題の源流は、1980年代に蔓延した不登校やひきこもりにあるといわれています。
当時の子ども世代は社会的に楽観性にみられて何とかなるだろう、と放置され、支援を受けられないまま、今日の大人となった結果だというのです。
最近の調査では、首都圏や関西圏に住む「年収200万円未満」の未婚者(20~39歳)約1800人のうち、77.4%が「親と同居」しているというのです。
これが今後も放置され続けることで、ひきこもり→生活困窮→生活保護という、まさに負の連鎖がさらに増え続けるのです。
そこに降りかかるのは、年老いた親の介護であり、親の年金が、親の死によって絶たれることです。引きこもりの果てに来る現実に恐怖感も抱いてしまうのです。