「エントロピー」ってたまに聞くけど、何のことかわからないので、なんとなく不快な思いをしたことありませんか。
かと言って、その言葉を使っている人のほとんどが、イメージだけで使っていて、本当の意味を説明できないかもしれないそうです。
この記事では、そんなエントロピーの本当の意味、そして、イメージだけが一人歩きしている現状を紹介しています。
まあ、とにかく、簡単にわかるようにしてみたいと思います。
エントロピーって何?
とりあえず、使い切ってもとに戻らない度合い
まず、エントロピーとは何か、ということですが、これは、熱力学における方向性のある現象の度合いを、数値化したものだということです。
もうすでに、ちんぷんかんぷんかもしれませんが、この方向性のある現象とは、一方向に進んで元には戻らないという事を指すわけです。
例えば、ガラスのコップを割ったら、元には戻りません。そんな感じだと思ってください。この元に戻らない現象の事を、不可逆性と呼びます。
本来のエントロピーとは、「熱力学」という分野における不可逆性の度合いを、数値化したものになります。
方向性のある現象とは?
考えられる、自然界における方向性のある現象
この事例は、それこそ無数にあり、わかりやすいものを頭の中にインプットしていきましょう。
・物体は上から下へ落ちたら元には戻らない。
・全ての生物は歳をとる。
・覆水盆には返らず
・部屋はどんどん汚れていく。
・機械はいつか壊れる。
・情報は開示されると、どんどん価値が下がる
・熱は温度の高い物から低い物に流れていく。
わかったと思いますが、本来のエントロピーの概念は、最後のものになるのです。これは、熱の有効利用が科学の中でとても重要な課題だったので、研究が進んだことが影響しています。
熱は温度の高い物から温度の低い物に流れていき、その逆は自然の状態では起こらない、ということが。
これを専門用語で、熱力学の第二法則と呼ばれるものです。
エントロピーの発見は偶然
実は、現実にエントロピーを正確に使える場面はない
エントロピーというものは、以下の簡単な式で求められるのだそうです。
・S(エントロピー)=Q(熱量)/T(絶対温度)
実は、この式は、長い間、熱力学に関する数々の実験を繰り返して、熱機関の体系をまとめて行くときに、派生した式だそうです。
現実には存在しない、可逆的な熱機関の熱効率を想定して、調べて行くと、Q/Tというの式が出てきて、実際の熱機関では、何か仕事をするたびにこのQ/Tが増えていくということがわかったというわけです。
この「Q/T」という値を、エントロピーと名名付けました。そして、それを不可逆性の指標と決めたのがエントロピーの物語です。
したがって、本来のエントロピーとは、熱力学における不可逆性の度合いを、数値化したもので、それは、たまたま見つかった不可逆性の指標だったわけです。
どこまでもゆがめられて使われるエントロピーの概念
便利だからとイメージだけが先行
さて、これでわかっていただけたと思いますが、本来の熱力学におけるエントロピーは、日常生活では何の役にも立たないということなのですね。
そうなると、なぜ、エントロピーなる言葉がこれほど広まってしまったのか、気になるのではないでしょうか。
そして、不可逆性の度合いを数値で表したと言っても、その数値を使うことはきっとないだろうということなのです。
最近のエントロピーという単語の用い方としては、その数値の要素は全くなく、安易に乱雑さや複雑さ、混沌、不確実性、均一性と言った言葉のイメージを表しているように思えます。
また、統計や情報工学においてもエントロピーが用いられることがあるようですが、それは、本来のエントロピーと辻褄を合わせることが多いようです。
したがって、部屋がちらかっているのは、エントロピーが高くなった状態だ、と言う説明は、単なる概念をイメージとして使っているということに気がつけばいいのです。