世界でも大きな格差が拡大している
世界の経済の現実はもはや解決不能か?
世界のお金持ちの上位26人の持つ資産は、世界の貧しい人=ボトム・ハーフの半数に当たる38億人と同じ額になる、との試算が発表されたそうです。
実は、この数字、前年は、世界のお金持ち上位43人と同じだったということで、一年で、一気に貧富の格差が拡大したということでしょうか。
数字的に見ると、世界のわずか1%の超富裕層の資産が、残り99%の資産より多くなっているということだそうです。
そして、世界で生み出された新たな富の80%以上は最も豊かな富裕層の方にいってしまい、世界の貧しい半分の38億人にはわずか1%未満の富しか届かないことなんですね。
個人資産が10億ドル以上の長者をビリオネアと言います。この数は世界金融危機直後の2009年には793人だったのですが、2019年には2208人に増えました。資産総額も2兆8330億ドルから9兆600億ドルと膨らみ続けています。
逆に、昨年1年間でボトム・ハーフの資産は11%も縮小しているとか。それに対して、ビリオネアの資産は12%拡大し、1日に25億ドルずつ増えていったというのです。
十分な医療を受けられないことで、推定約1万人が毎日亡くなっているのが現状です。貧しい国々では貧困家庭の子供は5歳までに死ぬ割合が増えます。
また、貧困を理由に、学校に行けない子供は2億6200万人と推定されているそうです。貧富の格差は教育格差も確実に広げていっているわけです。
世界中の貧富の格差が広がる理由
富が富を産むのが資本主義社会
この貧富の格差を広げている理由はいくつか考えられます。
・グローバル企業の租税回避
・ICTによる生産手段の寡占
・富裕層への優遇税制
・資本の集中
・法人税の過剰な引き下げ
・医療や教育予算の削減
租税回避や生産手段の寡占といった課題は国際協調が不可欠なんですが、世界では、難民問題も絡み合って、民族主義的な動きも増してきています。
さらに、保護主義のアメリカ、英国のEU離脱といった、先進国の間での足並みの乱れが問題を深刻化させることは間違いなさそうです。
現在の世界経済の仕組みは資産を保有する一部の富裕特権層に富が集中するようになってしまっています。そして富裕層はより富を増やし、世界の低所得層の状況は悪化し、経済格差は拡大するわけです。
同時に、税制の格差も大きく、これが一般市民の怒りを買って、ポピュリスト勢力の増大が世界的な傾向になってきていると言われています。
このようにして、富裕層を優遇する政府とグローバリストが厳しい批判のまとになっているわけです。
今後の世界情勢は格差が増大すればするほどポピュリストの勢力増大を招き、政権の弱体化が進むのではないかと言われています。