今、難民として時刻を追われた人も、以前は家や仕事がありました。
それが、戦争などで、自国にとどまることが不可能になってしまったわけです。
難民問題は個人の問題ではありません。しかし、一番被害を受けているのは個人です。
問題から目をそらすことは問題を深刻になるだけで、解決からはほど遠いのです。
難民が生まれる原因は国レベルの問題
難民になりたい人はいない
自分から望んで難民なる人はいません。
難民になる前は、家や仕事があり、大切な人との日常があったのです。それが奪われ、逃れた先での生活は、まず失ったものをいかにして取り戻すかなのです。
現在、世界には、日本の人口の約半数に当たる6,850万人が難民となって故郷を追われているといわれています。
また、シリアや南スーダンなどでは、新たな危機が生じ、人道問題の長期化によって、難民となる人が増えているのです。
シリアは、紛争勃発から6年目になりますが、この間に国民の約25%である549万人が国外に逃れたそうです。
アフガニスタンの内紛は1978年に始まりましたが、その時イランに逃れた難民の避難生活は、実に30年に及ぶわけです。
コートジボワールでも、2011年まで内戦によって、現在も周辺諸国に多くの難民が暮らしています。
南スーダンでは独立後に内戦が勃発し、今も終わる見込みがないといわれています。
ウクライナ東部の人も、ロシアやベラルーシ、ポーランドといった国で難民になっています。
難民全体で言えば、戦争や紛争を原因とする難民が一番多いと言われています。
原因から見た難民の分類
政治難民
政治難民とは、主に人種差別、思想的弾圧、宗教的迫害、政治的迫害によって国を追われた人々のことを指します。
・死刑となる恐れがあるイランのキリスト教徒
・北朝鮮からの脱北者
・イラクにおけるクルド人
・エリトリアからの難民
・いわゆるインドシナ難民
・第二次世界大戦中のユダヤ人難民
・LGBTIQといった性的マイノリティ
環境難民
環境難民は、気候変動によって、住んでいた所での生活が困難となって難民になった人々です。
・チャドに逃れたスーダン難民
・サイクロンが直撃したミャンマーの人々
・干ばつで不作が続くアフガニスタンの人々
・ハリケーンが直撃し、周辺諸国や南米の国々に避難しているハイチの人々
・干ばつにより生活が営めなくなった、チャド、エチオピア、ケニア、ソマリアの人々
この環境難民は1951年に採択された難民条約では示されていないのです。
経済難民
経済難民は、言葉としてはありますが、本来の難民の定義とは異なります。
経済難民とは、生活が経済的に困難になったことで、住んでいた土地や国から逃れて難民になった人々です。
ヨーロッパに来る経済難民は、バルカン諸国のアルバニアやコソボ、セルビア、マケドニアの出身者や、マグリブ諸国であるモロッコ、アルジェリア、チュニジアの出身者が多いそうです。