いつも正月は箱根駅伝をテレビで見るのが楽しみ、と言う人も多いかもしれませんね。
実は、箱根駅伝は他の大学駅伝などと異なる特徴を持っています。
なぜなら、出場資格には関東の大学、と限定されているのです。
これがあるために、地方の選手が関東の強豪校ばかり集まると言う弊害があると言われています。
この記事では、箱根駅伝の弊害と特殊性、予選会のルールや関東学生連合、スター選手のことを紹介しています。
いろいろあったとしても、やはり正月は箱根駅伝、と言う風潮は変わりそうにありませんね。
お正月の風物詩、箱根駅伝について
箱根駅伝について
箱根駅伝は、1月2日と1月3日に開催される大学駅伝の大会です。正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝競走」と言います。
出雲駅伝、全日本大学駅伝と並んで、大学3大駅伝の1つに数えられますが、出雲駅伝や全日本駅伝と違い、関東の大学しか参加できません。理由は、箱根駅伝を主催するのが関東学生陸上競技連盟だからです。
そのため、学生ランナーは箱根駅伝を走りたいため、関東の大学に集中するといった弊害が出てきています。
関東の大学とそれ以外の大学の実力差も大きく、出雲駅伝では第1回大会から全部、関東の大学が優勝。全日本大学駅伝では、福岡大学の2回、京都産業大学の1回以外はすべて関東の大学が優勝しています。
箱根駅伝の歴代優勝校
箱根駅伝の優勝校と出場回数
ここ数年、箱根駅伝では青山学院大学の活躍が目立っています。しかし、箱根駅伝の長い歴史の中では、青山学院大学は、まだ新しい学校であると言えます。
最多優勝回数は、中央大学の14回。それに早稲田大学の13回、日本大学の12回、順天堂大学の11回、日本体育大学の10回が続きます。
最多出場回数は、中央大学の91回。日本大学、早稲田大学の87回を引き離して、頭一つ抜け出しています。法政大学が78回、東洋大学が76回、日本体育大学が70回の出場回数を誇ります。
箱根駅伝の弊害について
駅伝の練習の特殊性
箱根駅伝の弊害は、関東の大学へ選手が一極集中するだけではありません。日本では、駅伝の人気が高く、中学、高校、大学、実業団とずっと駅伝メインの練習を行い傾向が強いのです。
そのため、マラソンに適応するのに時間がかかると言われています。
マラソンの世界記録は2018年にケニアのキプチョゲ選手が出した2時間1分39秒です。それに対して、日本記録は2018年に大迫選手が出した2時間5分50秒です。何と4分以上も差があるのです。
ただ2018年には箱根駅伝でも活躍した設楽選手、大迫選手が立て続けに日本記録を更新しました。大迫選手は、早稲田大学に在学中から、練習拠点をアメリカに置くなど、マラソンを目指して努力を続けていました。
箱根駅伝出身の選手が日本の陸上長距離界をしていくことで、箱根駅伝の弊害と言う声は自然に収まっていくのではないでしょうか。
あまり知られていない、箱根駅伝のルール
箱根駅伝繰り上げスタートについて
箱根駅伝の中継で、一番、わかりにくいのが繰り上げスタートのルールではないでしょうか。繰り上げスタートは、交通規制の時間に関係して行われます。そのため、箱根駅伝では、往路と復路でルールが異なります。
往路では、第2区の中継所で10分以上の差がついた場合、または第4区の中継所で20分以上の差がついた場合に繰り上げスタートになります。第3区では、繰り上げスタートがありません。
往路最終の第5区で10分以上の差が付いた場合は、翌日の復路のスタート時に、トップから10分遅れでスタートすることになります。
復路での繰り上げスタートは、各中継所とも共通で20分以上の差が付いた場合になります。
繰り上げスタートになった学校は、自校のたすきではなく、白いたすきでスタートすることになり、記録も参考記録になってしまいます。たすきが途切れたと表現されるのは、このためなのです。
予選会のルール
箱根駅伝の本線に出場できるのは全部で21チームです。内訳は、関東学連加盟大学のうち、前年大会の上位10校(シード校)、予選会を通過した10校、関東学生連合1チームの合計21チームになります。
予選会とは
シード権を持っていない大学は、予選会を通過する必要があります。
予選会への出場資格を満たしたチームだけが予選会には参加できます。
・関東学生陸連男子登録者
・予選会・箱根駅伝本戦出場回数が4回未満
・エントリーは10名以上14名以下(出場人数は10~12名、残り2名は補欠)
・申込み期日前日までに各校エントリー者全員が次の公認記録を有すること。
5000m16分30秒以内もしくは
10000m34分以内(どちらもトラックでの記録)
10月に陸上自衛隊立川駐屯地から国営昭和記念公園まで走ります。
駅伝ではなく、エントリーした大学の選手が一斉にスタートし、20kmを走ります。順位は1校上位10名までの合計タイムで決定するそうです。
関東学生連合とは?
多くの学生に機会を与える
実は、この関東学生連合は「多くの大学、選手に出場機会を与える」という趣旨で設定されていて、予選会で敗れた大学の中から上位の成績を残した選手達で構成します。
関東学生連合の選抜基準は
・各校1名まで
・予選会の個人成績が上位10名以内
・箱根駅伝本線出走経験が1度もない選手
・外国人留学生ではない選手
・予選会に参加した選手
箱根駅伝出身のスター選手
駅伝から生まれるスターたち
箱根駅伝は、毎年、スター選手が生まれる競技です。これまでにも数多くの選手がスターとなっています。
瀬古利彦さん
最近では、バラエティなどにも出演されている瀬古利彦さんですが、かつては日本長距離界の期待の星でした。箱根駅伝でも早稲田大学の選手として4年連続でエース区間でもある花の2区で活躍しました。
もし日本がモスクワオリンピックに出場していたら、瀬古利彦さんが金メダルを取っていたのではないかとも言われています。
今井正人選手
元祖山の神の今井正人選手は、箱根の山登りでスター選手になった最初の選手です。順天堂大学に所属し、5区の山登りでチームを首位に押し上げる姿は、多くの注目を集めました。現在は、トヨタ自動車九州に所属して、マラソンや駅伝で活躍しています。
柏原竜二さん
新・山の神と呼ばれた柏原竜二さんは、東洋大学で今井正人選手の記録を塗り替えると、毎年、自己記録を更新する走りを見せました。大学卒業後は富士通に所属し、マラソン転向を目指しましたが、ケガにも悩まされ若くして引退することになりました。現在は、富士通のアメリカンフットボールチームのマネージャーとして活躍しています。
神野大地選手
青山大学黄金時代をけん引したのが3代目山の神の神野大地選手です。名前のインパクトも大きく、まさに陸上競技をするために生まれたかのようでもあります。恩師の原晋先生と一緒にバラエティ番組などにも出演し知名度を高めています。現在は、フリーのプロ選手に転向して東京オリンピック出場を目指しています。
設楽啓太選手・設楽悠太選手
東洋大学で双子ランナーとして活躍したのが設楽兄弟です。兄の啓太選手は、コニカミノルタから日本物流の陸上部に所属し、マラソンを中心に活躍しています。弟の悠太選手は、Honda所属で2018年の東京マラソンでは当時の日本記録でもある2時間6分18秒の記録を出しています。
大迫傑選手
早稲田大学出身の大迫選手は、大学時代からアメリカに練習拠点を置くなどして、マラソンへの強い意識をもって練習をしていました。その成果もあって、2018年のボストンマラソンでは日本記録を更新し、一躍、日本マラソン界をリードする存在となりました。日本の実業団には所属せず、プロとして活動している選手でもあります。
意外と知らない駅伝について
駅伝の秘密
駅伝は、日本発祥の競技で、大きな大会は日本でしか行われていません。そのため、世界でもEKIDENとして知られています。
かつては、日本で海外のチームを招待して行う国際駅伝大会もありましたが、今では国内の男女の大会だけとなっています。
是非、EKIDENをオリンピック種目にまで育てて欲しいと思います。そうすれば、箱根駅伝の弊害や駅伝偏重主義の弊害と言った話も消えるのではないでしょうか。